■鏡餅と蜜柑
お正月と言えば、鏡餅。地方や習わしによって飾りつけは色々ですが、基本的な飾りの1つに鏡餅の上にみかんをのせます。その鏡餅の上に、なぜ「みかん」をのせるのかご存じですか?
鏡餅の上にのせるみかん=橙(だいだい)と言い、木から落ちずに大きく実が育つことにあやかって、代々家が大きく栄えるようにと願った縁起物です。そのため、子孫が代々(=橙=だいだい)栄えるように子孫繁栄を願う意味があります。みかんの色が“だいだい(橙)色”という語呂合わせの意味もあるそうです。
では、鏡ではないのに、なぜ鏡餅というのでしょう。不思議に思いますね。
これは丸いお餅の形が、昔の銅鏡(昔の鏡は、青銅製で丸い形をしてました)に似ていることから、鏡餅と言われるようになったそうです。さらに“鏡”は「鑑みる(かんがみる)」という意味もあったとされ、良い手本や規範に照らして考えるという意味の言葉にあやかり、「かんがみもち」とよぶ音がしだいに変化して鏡餅になったのだとも言われています。
鏡には神様が宿ると言い伝えられています。神様と一緒に年の初めを祝うために、鏡に似た餅を飾り新しい年を迎えましょう。
■お屠蘇
お屠蘇は元日の朝に1年の邪気を祓い、無病息災を祈って飲む薬酒です。
山椒、桔梗、肉桂などの薬草を混ぜ合わせた『屠蘇散』が年末になると薬局などで売られているので、それを日本酒かみりんに大晦日の晩から浸して作ります。
元旦に家族そろって新年の挨拶をした後、年少者から年長者の順に飲み送りをして家族の健康を祈り、邪気を祓うという縁起物です。お酒が飲めない人や子供は飲むまねをして頂きましょう。
■お年玉
お年玉は大人が子供へ贈るお金。という事で、子供にとってはお正月の大事な大事な行事として定着していますが、その習慣は古く、昔にさかのぼるほど食べ物が多いそうです。
中でも餅が主流で、それは神様からの頂き物と信じられ、その餅を食べて年齢がひとつ増えると考えられていた様です。今では、お年玉を心待ちにしている子供にポチ袋に入れたお餅を贈ると、どんな反応をするか?!
初笑いの種となるかもしれません。
■正月事始め
いろりやかまどで煮炊きした時代、台所には荒神様「三宝荒神(さんぼうこうじん)」という不浄を祓い清浄を好む神様が祀られていました。かまどが汚れているとその家の運気が下がると信じられていたので、年末には念入りに煤払いが行われていた様です。
12月13日の「正月始め(事始め)」は大掃除をして1年間の汚れを落とし、お正月準備を始める日とされています。
暮れも押し迫った頃に掃除を始める人も、やっかいな台所掃除は、少し早めに少しずつ始めていくと楽かもしれません。
■お節支度
代表的なお正月料理といえばお節。歳神様への供物であり、家の繁栄を願う縁起物です。四段のお重に詰めるのが正式といわれていますが、今では三段重や大皿盛り、一人盛りと地域や家庭によって様々です。
年末のあわただしい中です。お重詰めなんてとても…という場合は、祝い肴(黒豆、数の子、田作り又はたたき牛蒡)と雑煮があればお正月が祝える。と言われています。あとは好みの料理を選んで、無理のないお節作りを楽しんでみて下さい。
■七草がゆ 一月七日
この日の朝食は、七草粥を食べる習慣があります。
もともと宮中では7日に若菜摘みをする風習があり、ここから七草粥が広まったと言われています。平安時代のことです。
春の七草は、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ。スズナはかぶ、スズシロは大根のこと・・・と補足すると、大変身近なものとして感じることと思います。冬の寒さにもめげず、雪の下でも芽をだす、丈夫な菜草。これを朝ご飯に粥にして食し、無病息災を祈ります。
■鏡開き 一月十一日
お正月には、神棚にお米でできたものを3種類(鏡餅・米・日本酒)、飾る習慣がありました。もちろん、いまだにその伝統を大切にしている家庭は沢山あります。鏡餅はもともとお武家さんの家庭から生まれた習慣。だいぶ形を変えたものもありますが、現代も大切にされています。
餅を包丁で切ることは縁起が悪いことでしたので、木づちで固くなった鏡餅をコーンと割って、お汁粉に入れて食べていました。商家の中では商売繁盛を祈り、鏡餅や酒樽もコーンと割って鏡開きとします。
また、武道を習っている人々は、鏡開きを稽古はじめとし、汁粉を食べることが習慣としてあります。ただし、お米屋さんで作ってもらったり、自家製の鏡餅は案外日持ちしないかもしれません。
そこは、あまりこだわらなくても良いかもしれませんし、カビが生えないように、この日の為に、餅を冷凍保存しておく方法もありますね
■小正月 一月十五日
元旦が大正月に対し、この日は小正月、また女正月という言い方も昔はしたようです。この日まで、しっかり休むという人もいまだに少数派ではありますが、いるようです。精気を養い、良い仕事ができそうですよね。
この小正月の行事食は忘れがちですが、カレンダーを見ると記されていることが多いですし、地方によってさまざまな行事が予定されています。
小豆は邪気を祓う色とし、あずき粥を食べることで豊作を祈ります。日本人が愛する豆の一つですね。
この後、11日の鏡開きまでお餅がもたないな・・・という人は、七草粥にお餅を入れてしまうのも手ですね。
いろんな地方の小正月があるそうです。もし情報があれば、通信などで、教えてくださいね。
■成人の日 一月十三日
成人を迎えた人、そして成人まで育て上げたご家族の方、おめでとうございます。
20年ふりかえれば、いろんなことがありましたよね。楽しかったこと、つらかったこと、心配したこと、喧嘩したこと・・・ウルウルっと目頭が熱くなるお父さん、お母さんも多いことでしょう。
すでに社会人の人、まだ、学生の人、それぞれの人生でしょうが、自分自身に責任を持つ意味でも大事な門出の日ですね。
お子さん自身は、仲間と街に繰り出しているかもしれませんが、なにかささやかでも、お祝い膳を囲めたらいいですね。