お彼岸とおはぎ

『お彼岸って』

春のお彼岸は『春分の日』を中日にした7日間をいいます。つまり春分の日の3日前が彼岸の入り、春分の日から3日後が彼岸明けです。

今年のお彼岸は・・・

3月17日 彼岸の入り
3月20日 春分の日
3月23日 彼岸明け

『春分の日』は、太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の時間がほぼ等しくなります。
この日を境に昼の時間が少しずつ長くなり、寒さはどんどん緩んできます。まさに「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉通り、季節の変わり目ですね。

彼岸はそもそも仏教用語で、三途の川の向こう側(煩悩を解脱した悟りの境地)の事です。昼夜の時間が等しくなる春分の日には、そこにいるご先祖様と交わる事が出来ると考えられてきました。
そこで、仏壇にぼた餅(おはぎ)や団子をお供えし、墓参りをして供養を行う、日本独自のならわしとなりました。

また、お彼岸の頃はちょうど、春は農作業が始まり、秋は収穫の時期にあたります。豊作祈願や収穫の感謝も合わせて、ご先祖様や神様に願ってきたのです。


ぼた餅とおはぎの違いはいかに

お彼岸につきものなのが、ぼた餅(おはぎ)。
小豆の赤は災難を振り払う効果があるとされ、邪気を払う食べ物として、お彼岸にはこれを先祖の供養に供えたり、食べる風習が江戸時代から定着してきた様です。

さてさて、ぼた餅とおはぎの違いです。その違いは諸説あるようですが、食べ物としては同じものなのです!ただ、違うのは食べる時期。
「牡丹の季節である春のお彼岸に食べるのがぼた餅」「萩の季節である秋のお彼岸に食べるのがおはぎ」として、小豆の粒をそれぞれの花に見立てて作ったと、一般的にはよく言われています。
   
また、ぼた餅はこしあん おはぎは粒あん という違いも一説にはありますが、それは、小豆の収穫時期に関係があります。
春のお彼岸の頃の小豆は、冬を越して皮がかたいので餡の食感をよくする為に皮を除き、こしあんにしてぼた餅を作り、秋は収穫したての柔らかい小豆を炊いて粒あんでおはぎを作ったとか。
今では、保存技術も発達して、一年中、小豆のコンディションは安定しているので、皮がどうのという事もなくなりました。それでこしあん、粒あんの違いはぼんやりとしてきたのかもしれません。

おはぎ屋さんはあるけど、ぼた餅屋さんというのは、あまり聞きません。
地域やお店(レシピ名もしかり)によっては、春であろうと秋であろうと『おはぎ』という名前で定着している事が多いです。それゆえに春にはこしあんのぼた餅を、秋には粒あんのおはぎを食べ、季節の移ろいを感じるのは、風情のある事ですね。

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