肌トラブル対策 症状別薬膳レシピ vol.1

強い日差しを浴びていた肌。夏の終わりはシミやくすみが気になり出す頃ですね。シミやくすみ以外にも、きめが粗くなったり、肌荒れが目立ったり、むくみや顔色がさえない…こんな症状も出やすい時です。

主な要因として考えられるのは、
・寝苦しい夜の睡眠不足や室内外の気温差で体に疲労が蓄積していること。
・発汗とともに体内の気血を消耗し、気血の質と巡りが悪くなっていること。
・冷たい物の摂り過ぎなどで脾(消化器官)に負担がかかり、お腹が弱り気味になって栄養が吸収されにくい状態になっていること。
・体内の水分代謝が上手に行われていないこと。

やがて季節は本格的な秋に入り、空気はどんどん乾燥していきます。
夏の疲れを残したままにしておくと、肌の代謝機能はどんどん低下しパサつきやすくなり、弾力やハリ、潤いまで失ってしまうかも!夏の終わりは、肌にとって危険な季節といえますね。

皮膚細胞は通常4週間ごとに新しいものに生まれ変わると言われますが、残念ながら年齢とともにそのサイクルは遅くなってきます。食べ物が体も肌もつくっていることを考えれば、バランスのよい食事で体の新陳代謝を促し、質の高い肌代謝(ターンオーバー)を目指したいですね。

バランスのよい食事とは、栄養学では“必要な栄養素をまんべんなく摂る”ことですが、薬膳でいうバランスとは“不足を補い、余分を取り除くこと”つまり体の弱っているところを補強し<補>、体に溜まった老廃物はスムーズに排泄させること<瀉(しゃ)>を基本にしています。
例えば、気力、体力、血液、体液、骨などをつくるには<補>の性質を持つ食物を。逆に便秘や体内に水分が停滞したり、血行が悪かったり、肥満などには<瀉(しゃ)>の性質をもつ食物を摂るようにします。

今回の特集では、薬膳の考え方を基本に肌によい栄養素も組み合わせ、夏の終わりのこの季節にぴったりなレシピを集めました。食物が持つさまざまな特性を活用し、普段の食事で肌を内側からお手入れする! そんな気持ちで楽しみながら作って食べていただけたらと思います。

シミとくすみが気になる方
【症状】
シミ、くすみ、顔色がさえない、など。

【考えられる原因】
強い紫外線を浴びたことによる色素沈着や血液の循環が悪く、老廃物の排泄がスムーズにいかず滞っている状態。血液の巡りをコントロールしている肝の機能低下も考えられます。

【対策】
まずは紫外線に直接あたりすぎないようにすること、ビタミン類、中でも特にメラニン色素の沈着を防ぐビタミンCが不足しないよう心がけ、血の巡りをよくし、肝を丈夫にする食物を摂りましょう。

【摂りたい食材】
ビタミンCが多く含まれる食材: ピーマン、パプリカ、パセリ、ブロッコリー、レモン、キウイなど。
血をサラサラにしてくれる食材: あじ、さば、いわし、ししとうがらし、ピーマン、にら、にんにく、たまねぎ、黒豆など。
肝をいたわり丈夫にする食材: あさり、しじみ、たこ、いか、レバー、ほうれん草、にんじん、ごまなど。

脂性肌が気になる方
【症状】
肌が脂っぽく、赤みもあって、ニキビ・吹き出物ができやすい。

【考えられる原因】
脂っこいものや刺激物を過剰に摂ると、血液に熱や毒がこもって皮膚や粘膜に炎症を引き起こし、大人のにきびや吹き出物の原因になると考えられています。

【対策】
味の濃いもの、こってりしたものを控え、体の内部の熱を冷まし、解毒作用のあるもの、老廃物をスムーズに排出させることを心がけます。

【摂りたい食材】
体内の余分な熱を冷ます食材: れんこん、なす、チンゲン菜、きくらげ、セロリ、水菜、じゅんさい、緑茶、きゅうり、トマト、豆腐など。

むくみがちでお悩みの方
【症状】
むくんでいるように感じる、きめが粗い。

【考えられる原因】
蒸し暑い日が続いため、体内は余分な湿気を溜めやすくなっています。体内に停滞した水分の影響で脾(胃腸などの消化器官)の働きが弱まり、消化・吸収がうまく行われなくなって老廃物の排出がうまくできず、体内にたまっている可能性があります。栄養がきちんと吸収されないと肌のきめも粗くなります。

【対策】
美しいお肌には、食べたものの栄養を十分吸収できる状態をつくっておくことも大切。体内の余分な湿気を取り除いて消化器系の動きを調えます。利尿作用のあるもの、胃腸のはたらきを回復させてくれる食材を摂りましょう。

【摂りたい食材】
利尿作用があり胃腸のはたらきを丈夫にする食材: ハト麦、とうもろこし、いんげん、オクラ、小豆、黒豆、大豆、そら豆、冬瓜、豆乳、白身魚、金針菜など。

乾燥としわが気になる方
【症状】
乾燥してツヤがない、小じわがめっきり増えきた。

【考えられる原因】
夏の間、発汗によって体が水分を失っているところに、秋になって空気が乾燥してくると、お肌は潤いを失い、しわができやすい状態になります。

【対策】
体を内側から潤す食材でツヤのあるお肌に。中医学では、肺は皮膚を司ると言われ、肺が潤うと皮膚も栄養が巡り、潤うとされています。皮膚と関係の深い肺の機能を高める食材もおすすめです。

【摂りたい食材】
体を潤す作用のある食材: ほたて、牛乳、小松菜、白ごま、豚肉、松の実、豆腐、きくらげ、梨、柿、卵、チーズ、豆乳、はちみつなど。

『肌トラブル対策 症状別薬膳レシピ vol.2』もあわせてご覧ください。
チームKATSUYO 国際薬膳師:吉開有紀

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