8月15日によせて
忘れてはいけない
終戦記念日への思い
そして復興への祈り
1945年、東京大空襲、そしてその夏、長崎・広島と原爆が落とされました。今もなお、その後遺症で苦しんでいる人たちがいます。戦後誰もが、平和を祈りつつ、二度とこの悲しい出来事、あやまちをおかさないように思っていたはずです。しかし、世界は平和になったのでしょうか?いまもなお、世界のどこかで争い、親も家も失い、悲しみに涙する子供たちがいます。
そしてこの3月、日本におきた大地震と津波…いまもなお終わらぬ福島原発への不安。いま日本人、いいえ、世界の人が核の怖さをこんなに近く感じていることはないと思います。
広島と長崎におきた被ばくは、戦争でおきたもので、理由はまったく違いますが、被ばくの怖さを早く、どうか解決してほしい。毎日、祈りつつも、福島の現場で働く人の無事に手を合わせずにはいられません。
いま、日本は間違っていたことへ、どう軌道修正していくのか、今の大人の課題であり、義務です。責任のなすり合いをしている暇はありません。平和なくして、食べ物は手に入れることができないこの真実を心に刻み、毎日キッチンに立ちます。そして過去に感謝しつつ、食べ物を大切に扱っていきたい。
いま、お勧めの本も紹介させていただきます。一人ではなにもできませんが、未来のために、みんなで頑張りましょう。ことに、仙台文庫から7月に2冊出版された著者の加藤哲夫さんは、師匠小林カツ代の尊敬する人物で、18~19年前、薬害エイズのときにも、理解を広めるために全国で活動されました。その時、師匠をはじめキッチンスタジオのメンバーも東京でお手伝いさせていただきました。是非、時間をかけてお読みください。
そして、被災地の方々に早く普通の暮らしが戻ること、もっといい日本になるように、祈っております。傷ついた子供たちの心の癒える日がくることも、あわせて願っております。
2011年8月15日 キッチンスタジオスタッフ一同
●緑の星に より
小林カツ代:作詞
吉岡しげ美:作曲
大島みちる:編曲
2002年CD
エイベックス
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地には花が咲き
人には歌がある
この美しい緑の星と
与えられた生命のために
戦さをやめて 歌っておくれ
戦さをやめて 歌っておくれ
海には魚たち 空には鳥が鳴く
宇宙の中の小さな星に
今日も生きるものたちの
祈りの声を 聴いておくれ
耳をすませて 聴いておくれ
遠くに風の声 近くに虫の声
緑の星に命が生きる
緑の星はひとつの家族
戦さをやめて 愛しておくれ
戦さをやめて 愛しておくれ
戦さをやめて 愛してゆこう
●世界中のこどもたちへ
合同出版
「いただきます
ごちそうさま」
より
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ある日
音楽界にいきました
子供を連れていきました
歌の中に戦争を
テーマにしたものがありました
休憩時間に10歳の
娘のまりこが聞きました
「ママ、もし戦争になったらね
パパ、戦争に行っちゃうの」
「今すぐ戦争は
起こらないと思うから
もし戦争が起こっても
パパはそのこと年をとり
行かずにすむと思うけど」
無邪気なまりこは顔中が
笑顔だらけになりました
「ああよかったァ よかったァ」
「でもね まりちゃん そのころは
ケンちゃん大きくなっていて
ケンちゃん
とられちゃうかもしんないね」
今まで気づかずにいたことが
このときふいと口に出て
いった私がはっとして
胸締めつけられる思いがし
そっとまりこを見てみると
みるみる暗い顔になり
返事もせずにうつむいた
「ぼくちゃん
ちょいと トイレです」
元気にさっき出ていった
ひょうきん者の弟は
まりこと1歳違うだけ
まりこのほほにひとしずく
涙がツーと落ちました
あのとき思わずでたことば
以来私は不安です
まさかと思う戦争が
もし起こったらどうしよう
いやだ いやだそれだけは
だれが渡してやるものか
私の愛する息子です
私のかわいいこどもたち
だれが死なせてなるものか
この世でいちばんきらいな人は
戦争しようと思う人
上野の森に住んでいた
動物園のゾウやトラ
ヒョウやライオン、戦災で
もし逃げたら危険だと
餓死や毒殺命じた人に
愛のかけらはなかったか
おなかをすかせたゾウたちが
ふらふらする足ふんばって
えさをほしさに芸をする
その哀れさを読んだとき
本を伏せて泣きました
食べたいものが食べられて
愛する人や生き物と
いっしょの暮らしを守りたい
戦う武器を作るなら
世界の中の飢えし人
飢えた子どもに食べ物を
やせ細ってしわのみの
乳房にすがる赤ちゃんの
ミルクを送ってくださいな
「いただきまーす」
「ごちそうさま!」
今日も日本は平和です
口いっぱいにほおばった
子どもの笑顔がありました
今も世界のあちこちで
おとなが起こした戦争で
傷つき飢える子がいます
からだ中が火ぶくれで
泣き叫ぶ子がいます
あなたに子どもがあるのなら
どんなものより戦争を
忌みきらってほしいです
平和あっての食べ物ばなし
平和あっての子どもたち
平和を守るそのことが
子どもを守ることだから
1983年・小林カツ代
2011年8月のオススメ読書
●大人と子どもの詩集
合同出版編集部
「原爆詩集 八月」
合同出版
「海をうらまない」震災ポエム
佐藤啓子 著
●大人のための読書
講談社現代新書
「原発社会からの離脱」
宮台真司&飯田哲也 著
朝日新聞出版
「慈悲の怒り 震災後を生きる 心のマネジメント」
上田紀行 著
仙台文庫
「市民のネットワーキング-市民の仕事術1」
「市民のマネジメント-市民の仕事術2」
加藤哲夫 著
※仙台にある出版社です。インターネットから購入できます。
岩波新書
「原発事故はなぜくりかえすのか」
高木仁三郎 著
無明舎出版
「山に暮らす海に生きる」
結城登美雄 著
聖文社
『自己への旅』
山尾三省著
※この本は探すのが大変かもしれませんが見つけたら、是非
あけび書房
「これでいいのか福島原発事故報道-マスコミ報道で欠落している重大問題を明示する」
丸山重威 編著