没後三年― “家庭料理のカリスマ” 小林カツ代の決定版評伝

「小林カツ代という人は天才でした。紀元前、紀元後ではありませんが、家庭料理の世界では、カツ代前、カツ代後という言葉があってもおかしくない」(本文より)

私が死んでもレシピは残る

天国へと旅立った際、KATSUYOレシピサイトのユーザーやファンの方々向けに届けたコメントが、数多くのメディアに取り上げられた言葉です。
生前、「私が死んじゃっても、美味しい私のレシピは永遠にそこの家の家庭料理として残るのが嬉しいわね」と、大好きな珈琲を飲みつつ、笑いながらスタッフに話をしていました。

作品紹介

「小林カツ代という人は天才でした。紀元前、紀元後ではありませんが、家庭料理の世界では、カツ代前、カツ代後という言葉があってもおかしくない」と、料理専門の編集者に言わしめるほどの存在だった「家庭料理のカリスマ」が亡くなって三年。その波乱万丈の生涯を、生前から親交のあった気鋭のノンフィクションライターがたどる決定版評伝。
大阪の商家の「こいさん」(末娘)として生まれ、大学を出てすぐに結婚。新婚当時は味噌汁も満足に作れなかった主婦が、いかにして戦後日本を代表する料理研究家になったのか……。
実姉や娘、家族同然だった料理の弟子たち、彼女を知る多くの関係者に広く取材し、仕事と家庭の両面から小林カツ代の実像に迫る。伝説の「肉じゃが」、「わが道をゆくワンタン」など傑作レシピも紹介。

目次

第一章 料理の鉄人
……常識破りの肉じゃが
第二章 小林カツ代の家庭料理とは何か?
……時短メニューの元祖
第三章 大阪大空襲
……火の粉の中をさまよって
第四章 カツ代を育てたミナミの味
……母の冷やそーめん
第五章 料理研究科・小林カツ代誕生
……「らっきょうづけ」で料理雑誌デビュー
第六章 母として、女としての葛藤
……人生を変えたアメリカ体験
第七章 天命
……天は「生きよ」と言っている
あとがき
……「カツ代ほど変化をした女性はいなかった」

著者プロフィール

中原一歩(なかはら・いっぽ)
1977年生まれ。高校卒業後、博多の屋台で働きながら、地方紙や週刊誌で執筆活動をはじめる。19歳で上京後は、南極から北朝鮮、アマゾンの源流からアフガニスタンの戦場など世界を放浪。「ピースボートの船上で黒豆を煮てもらえないか」と頼んだことが、小林カツ代と知り合うきっかけになった。著書に『奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」』『最後の職人 池波正太郎が愛した近藤文夫』など。

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