「小林カツ代という人は天才でした。紀元前、紀元後ではありませんが、家庭料理の世界では、カツ代前、カツ代後という言葉があってもおかしくない」(本文より)
私が死んでもレシピは残る
天国へと旅立った際、KATSUYOレシピサイトのユーザーやファンの方々向けに届けたコメントが、数多くのメディアに取り上げられた言葉です。
生前、「私が死んじゃっても、美味しい私のレシピは永遠にそこの家の家庭料理として残るのが嬉しいわね」と、大好きな珈琲を飲みつつ、笑いながらスタッフに話をしていました。
「小林カツ代という人は天才でした。紀元前、紀元後ではありませんが、家庭料理の世界では、カツ代前、カツ代後という言葉があってもおかしくない」と、料理専門の編集者に言わしめるほどの存在だった「家庭料理のカリスマ」が亡くなって三年。その波乱万丈の生涯を、生前から親交のあった気鋭のノンフィクションライターがたどる決定版評伝。
大阪の商家の「こいさん」(末娘)として生まれ、大学を出てすぐに結婚。新婚当時は味噌汁も満足に作れなかった主婦が、いかにして戦後日本を代表する料理研究家になったのか……。
実姉や娘、家族同然だった料理の弟子たち、彼女を知る多くの関係者に広く取材し、仕事と家庭の両面から小林カツ代の実像に迫る。伝説の「肉じゃが」、「わが道をゆくワンタン」など傑作レシピも紹介。