小林カツ代の日常茶飯 食の思想

家庭料理に多大な影響を与えてきたとされる小林カツ代が、「家庭料理」「人生と食」「女性と家庭料理」について語る、食との向き合い方を考えさせてくれる一冊。

「食べるということは、食べつづけてゆく、ということ―」。

亡くなって三年、今なお親しまれている戦後日本を代表する料理研究家・小林カツ代。家族から個人の食事へと自身の人生の変化を見つめ考察した未発表原稿、農業や漁業の生産者たちに語りかけた講演記録などを収録。

作品紹介

「だいたい『家庭料理』という言葉は、せまい感じがしはじめていたの。一人でも『家庭料理』と思いたいけれど、一人暮らしを家庭と呼ぶかどうか。家族とでもいいし、一人が自分のためだけの、個人が楽しむために作る料理でもいいし。うちで作ってただ食べるそのことをなんて呼べばいいかなァ」(第一章 日常茶飯より)

目次

第一章 日常茶飯
……スリムに老いる
……ひと皿盛りのススメ
……「今」だからこそ、この料理
……本当のことはひとつじゃない
……戦場(?)で教わったこと
……ヤーダヘンだ!!
……ひらめき、いちばん!
……「おいしい」知識
……宇宙の法則、自然の力
……これ、素朴なギモンです
……料理は「気」から
……ヤダァ
第二章 小林家の料理哲学
……小林カツ代&ケンタロウのキッチン対談
……毎日のご飯おいしく食べたいね!!
第三章 私の料理はどこからきたか
……講演 自然が教える私の料理
第四章 食べつづけてゆくということ
……一貫性なき話
……『海からの贈物』
……川と水と私
……ほんとにおいしいもの
……金魚すくい
……いるだけで
……今思うこと(一九九五年春)

著者プロフィール

料理研究家・エッセイスト 小林カツ代
1937年大阪府生まれ。たしかな味覚に裏打ちされた合理的な調理法、時代と食材の変化にいちはやく応えたレシピで、家庭料理をあらたに切り開いた。テレビ、ラジオ、雑誌、講演など多方面で活躍し、台所雑貨や食器のプロデュースも手がけ、考案したレシピは1万以上、著書は230冊以上。2005年にクモ膜下出血で倒れ、2014年1月に逝去。亡くなった現在も人気は衰えず、復刊や新刊が発行され続けている。主な著書に『小林カツ代 料理の辞典』(朝日出版社)、『小林カツ代のおかず道場』(河出文庫)、評伝に『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』(中原一歩著、文藝春秋)がある。

スタッフ感想

口にする食べものや、食に対する責任は、時代と自分にあった家庭料理の楽しみ方でいいのだと考えさせられる秀逸な本。

カツ代先生の明るい語り口調の一冊を読み終えた後は、自分に便利なことや、味のいい本当を選べばいいんじゃないかな。体が喜び、体が欲しがるおいしいものを食べようと、構えることなく、純粋に料理や食を楽しんで良いんだなぁ〜って思えました。

この本と出会った人は、「食」「料理」「家庭料理」への向き合い方が変るような気がします。

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