肌トラブル対策 症状別薬膳レシピ vol.2

先週に引き続き「肌トラブル対策」を特集します。ご自身の肌の症状にあったものを食生活に取り入れてくださいね。

気候・季節など外界の変化をもっとも受けやすい肌ですが、中医学には“肌は内臓の鏡”という言葉があるのをご存知でしょうか。
これは、肌は体の表面の状態だけでなく、体の内臓(五臓:肝・心・脾・肺・腎)の状態を表すという考え方です。つまり、健康な肌は、五臓をきちんと調えバランスよく働かせることから生まれるのです。

体内に栄養を含んだきれいな“血”がサラサラと流れ、十分に満たされた“気”が滞りなく巡り、老廃物がスムーズに体から排出され、適度な“水分”で潤っている状態を保っていれば、美しい肌はおのずと手に入るというわけです。

また、髪や爪についても中医学独特の考え方があります。
“髪は血の余り・腎の華(はな)”といい、髪の状態は腎の機能と血液の状態によるところが大きく、髪を養うためには、腎機能を強化し、血液を補うことが大切です。

爪には、“肝の華(はな)は爪にあり”という言葉があります。
爪は肝の状態をもっともよく表すという意味で、肝を丈夫にし、血行をよくすることで、爪の美しさが保てるという考え方です。
髪も爪も肌の一部、栄養をしっかり与えてあげたいですね。

先週もお話ししましたが、皮膚細胞は通常4週間ごとに新しいものに生まれ変わると言われます。バランスのよい食事で体の新陳代謝を促し、質の高い肌代謝(ターンオーバー)を目指しましょう!
『肌トラブル対策 症状別薬膳レシピ vol.1』もあわせてご覧ください。

肌荒れ・カサカサが気になる方
【症状】
肌がカサカサと荒れている。

【考えられる原因】
ストレスや睡眠不足、不規則な食生活などにより血液や気が不足し、循環が悪くなって、皮膚に栄養が行き届かなくなると、お肌はてきめんに荒れてきます。食欲不振、疲れやすい、風邪をひきやすいなどの症状を伴いやすいので、体のメンテナンスも必要です。

【対策】
補血作用があり血液の質をよくする働きのあるもの、補気作用があり胃腸を整えて丈夫にし消化吸収力を高めるもの、食欲増進作用のある香り野菜、ビタミン類、鉄分、良質な脂分をほどよく摂ることが大切です。

【摂りたい食材】
補血作用や血液の質をよくする作用のある食材: いわし、さんま、レバー、牛肉、かき、ほうれん草、にんじん、きくらげ、ひじき、クコ、なつめ、落花生、干しぶどう、ごまなど。
補気作用や胃腸を整え丈夫にする食材: 米類、いも類、キャベツ、かぼちゃ、干ししいたけ、しょうが、香り野菜(しそ、パセリ、バジル、香菜、春菊)など。

目の下のくまが気になる方
【症状】
目の下にくまができやすい、とくに寝不足や疲れているときに目立つ。

【考えられる原因】
血の粘度が増し、流れが悪くなることを、中医学では「血お(けつお)」といい、滞った血のことを「お血(おけつ)」と呼びます。お血は“痛む、しこる、黒ずむ”という特徴があり、肩こりや月経血が黒ずんで固まりになったり・・・という症状も出やすくなります。血おの原因はさまざまですが、女性の場合は、冷えや、血液不足により血液の循環が悪くなることや加齢による肝腎機能の低下などが考えられます。

【対策】
血の流れをサラサラにするとともに、血お状態により気も滞りがちになるので、気の巡りをよくし、体内を活性化させます。

【摂りたい食材】
血の流れをよくする食材: あじ、さば、いわし、にしん、まぐろ、かつお、 にら、シナモン、なす、チンゲン菜など。
気の流れをよくする食材: サフラン、オレンジ、ジャスミン、たまねぎ、らっきょう、かぼす、そば、酢など。


髪のトラブルにお悩みの方
【症状】
髪にコシがなくてパサついている。切れ毛、抜け毛が多い、白髪が増えた。

【考えられる原因】
中医学では髪は「腎の華(はな)、血の余り」と言われ、髪の状態は腎の機能や血液の状態を表すと考えられています。
腎とは精をつかさどり、先天的にもって生まれた生命力の源。腎の働きが弱まると、老化やホルモンの減少を引き起こし、それに伴う髪のトラブルも発生しやすくなります。
腎の強さにはもともと個人差があるため、西洋医学でいう、薄毛や白髪は遺伝的要素が強いという考え方とも一致するところがあるのですが、どうぞあきらめずに、腎を養い、強化する食物を摂って髪の養生を心がけましょう。

【対策】
切れ毛やパサつきがちな髪は、血液中の栄養分が不足しているときにあらわれやすいので、髪に充分な栄養を与えてあげることが大切です。髪の主成分はケラチンというたんぱく質なので、良質なタンパク質(肉、魚、大豆製品、乳製品など)のほか、ビタミン類、ミネラル類もバランスよく供給してあげましょう。髪はこれらの栄養素を毛根の周囲の毛細血管から吸収し、細胞分裂を繰り返して成長します。

【摂りたい食材】
腎を養う食材: 黒豆、黒ごま、くるみ、栗、かつお、山芋、うなぎ、海藻、えび、かき、卵など。


爪のトラブルにお悩みの方
【症状】
爪がもろい、色つやが悪い、中心部分がへこむ、横スジができるなど。
 
【考えられる原因】
お肌とともに、爪も年々老化し、衰えがみられるようになります。体調がそのまま爪に表れ、内臓の状態がよくないと、横にスジができたり、鉄が不足すると真ん中がへこんだりします。爪の色には内臓疾患の兆候があらわれると言われますので、日頃のチェックも大切です。中医学では「肝の華は爪にあり」といわれ、とくに肝の状態を反映すると考えられています。

【対策】
肝を強化し、補血作用のある食材を摂りましょう。爪の主成分も髪と同じくケラチンというタンパク質なので、良質なタンパク質、ビタミン類、ミネラル類を摂ることも大切です。マニュキアを塗らなくてもツヤがあり、透明感と弾力のある、丈夫な爪をめざしましょう!

【摂りたい食材】
肝を強化する作用のある食材: タコ、イカ、あさり、しじみ、かき、赤身の肉、レバー、クコ、うなぎ、ごま、桜えび、昆布など。
補血作用・血の質をよくする作用のある食材: レバー、かき、赤身の肉・魚、ごま、落花生、ほうれん草、きくらげ、ひじきなど。

チームKATSUYO 国際薬膳師:吉開有紀

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