梅雨を楽しく快適に

水はけのよい体づくり

雨は自然界に水を補い、農作物を豊かに育てます。しかし、ぐんぐん高まる湿気、これは本当に困りもの。この季節、多くの人が感じる症状、体が重く、だるく、疲れやすい…。これには“湿”も大きく関係しています。
日本人は、乾燥や寒さ、暑さなどには敏感ですが“湿”が体に及ぼす影響については普段あまり意識していません。
中医学では、この“湿”が体にさまざまなトラブルを起こすと考えています。
“湿”の特徴は、重く濁り、粘りっこいこと。
外界の湿気が体内に入り込んで停留すると、頭が重い、粘りのある痰が出る、胸がつかえる、むくむ、尿が出にくい、関節痛などの症状が出やすくなります。
また、血液や気の流れも阻害し、冷えやすくなることもあるので注意が必要です。
そして“湿”を体内に溜めこんでしまうと、水分代謝が悪くなり、消化器系の機能を低下させ、食欲不振、胃もたれ、軟便など胃腸の調子も崩しがちに。
さらに“湿”は、下降する性質をもつので、気分の落ち込みを誘因してしまうこともあると考えられています。
そこで今回の特集は、体に湿を溜めない食材・食生活を5つのステップに分けて提案します。前半は、まずステップ2まで。

「薬膳監修&コラム:よしかい ゆき」

ステップ1.「湿」がまだ体の表面にあるうちは・・・
香りの食材で「湿」を発散

芳香性と辛味のある食材、たとえば生姜・白葱・しそ・みょうが・三つ葉・香菜などには、ほどよい発汗作用があります。
これらを上手に摂り入れて、湿が体の表面にあるうちに、フワッと発散させましょう。

「香り食材」献立

香りや独特の辛味で料理を引き立てる薬味たち。普段は脇役に徹していますが、“薬味”の名前の通り、実にさまざまな効能を持っています。
「体を温めて発汗を促進」「新陳代謝を活発化」「食欲増進」「お腹の痛みを止めてくれる」作用も期待できます。
抗菌作用のある生姜、防腐作用のある青じそ、梅干しなどは、食あたりの増える梅雨の季節には意識して摂り入れるとよいですね。
鉄分など、女性に嬉しい栄養がいっぱいのかつおにもたっぷりのせて♪
生姜のきいたソースで蒸し野菜をたっぷりいただいて、体の芯から元気を出しましょう。のりの代わりに青じそがピタッとはりついた焼きむすびは、これから夏に向けておすすめです。


ステップ2.梅雨寒(つゆざむ)の頃は・・・
体を温めて湿を乾燥

梅雨に入ったばかりの頃は、ゾクッと肌寒い日も多いですね。 この時期に“湿"が体内に停留すると、血液や気の流れも悪くなって、冷えやすくなるので注意が必要です。
そんな時は香りがあり、温性の性質を持つ食材を組み合わせ、体を中から温め、ほどよく湿を乾燥させるのが賢い選択。
おすすめ食材は、シナモン・肉桂・鶏肉・えび・ニラ・うど・生姜・紫蘇・ねぎ・香菜・三つ葉・みょうが・玉ねぎ・らっきょう・柑橘類など。

「体を温める」献立

カレー粉は、ターメリック、クローブ、チリペッパー、陳皮など、体を内から温めて除湿を促し、独特な香りに食欲増進作用のあるスパイスがバランスよく調合されています。ジメジメした梅雨寒の季節には、ほどよく加減して摂り入れてみましょう。(摂り過ぎはいけません)
おすすめは、栄養たっぷり、水分代謝をよくしてくれる、とうもろこしやお豆が主役のカレー。気のめぐりをよくする玉ねぎのすりおろしが味に深みを出します。辛くって、甘くって・・・パンでもごはんでも、おいしい。ナン、チャパティを作りたい人は、是非チャレンジ!
一緒に、生姜風味のドレッシングであえたサッパリ爽快サラダ。セロリの涼性を、生姜の温性で調和します。
お腹を温め、弱っている機能を元気にしてくれるかぼちゃ。スパイスとの相性のよさに驚いていただけるはず。付け合わせにも、おやつにも。


『ステップ3からステップ5は、また来週のお楽しみ。』

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