仕事が忙しい人は、朝ごはんより、その分寝ていたい、と思うかもしれませんが、朝はぜったいに何か食べたほうがいい。カップラーメンでもいいから食べたほうがいい。駅のホームでパンと牛乳でもいいから、人目を気にせず食べたほうがいいです。
朝ごはんを抜くと太るとか、そういう事ではなく、朝ごはんを食べたほうが目が覚めますよ。私は食べていない日は明るくなれない。いや、明るいんですよ、明るいけどスカッと明るくなれないです。朝、食べていない、というのが、ずーっと心にひっかかってて。
会社の帰りにコンビニに寄って、明日の朝、何にしようかなー、と考えるのも楽しいじゃありませんか。コンビニのパンだって、そうバカに出来ないです。バナナなら、いっぺんに栄養素がとれてしまうし。
ホーチミンはアメリカとの戦争が始まったとき、すぐにバナナを植えさせたそうですよ。生長が速いから。それで食料が水分助かったとか。ただ、なんでもいいとはいえ、やっぱりあれが!というのがあると、朝の目覚め方も違います。
それに、朝ごはんのありがたいところは、毎日違うものでないと嫌だ、じゃないこと。むしろ、何にせよ、いったん決まると、毎朝それ。同じがいい。なぜですかね。私が同じ時期結構凝ったものが次なるもの。
●あつあつおむすび ●卵チャーハン ●冷や汁 ●粕汁
この頃ごろ、野菜がたりないな、と思ったとき、外で働いている人は、昼に野菜炒めのあるラーメン屋に入るとか、もやしラーメンを食べるとかするのもいいですが、手っ取り早いのは野菜ジュースとトマトジュース。
トマトに入っている今注目のリコピンという栄養成分は加熱によって、より、吸収されやすくなるから。ジュースは生と思っている人が多いけれど、必ず加熱してあるんです。動脈硬化などの生活習慣病を予防してくれます。二日酔いする人にもいいです。今日は飲まねばっ、という日、飲む前に飲んでおく。
とにかく、何でもいいから朝ごはん食べてください。
『小林カツ代のお料理入門 ひと工夫編』(文藝春秋)より
(文・小林カツ代 2004年春)