“アクを取る”という言葉がありますが、アクも少しはないと、その素材の持ち味がいかせません。しかし、過ぎたるは及ばざるがごとし。なんでも程よくがいいのです。“必要悪”といえばよいでしょうか。
水にさらしてアクを取る場合は、完全に取ってしまうのではなく、ほどよく残すことが大事。全部なくなるほどさらしてしまうと、肝心な味までなくなってしまいます。
とはいっても、ほうれん草や小松菜、春菊、ゴボウやれんこん、ふきなど現代の野菜はアクが少なくなりました。しかしそれでも、やはりアクは取ったほうがいい場合が多いのです。
ことに、ほうれん草はシュウ酸があるため、昔ながらに水できちんとさらしてアクを取った方が、味も良くなります。
ふきのとうを天ぷらにする時には、アクは抜かずにそのまま揚げましょう。しかし「ふきのとうみそ」や「ふきのとうの佃煮」を作るときは、塩を加えた湯で下茹でし、場合によっては水にさらします。あくまでも、完全に取るのではなく、アクを程よく残すことが大事なのです。
アクを抜くには、素材によって色々な方法があり、主に、塩水につけたり、下茹でするのが一般的。
マーマレードのアク抜きはおもしろく、水に丸1日つけて、ゆっくりとアクを抜きます。例えばオレンジや夏みかんなど、皮にワックスが施されている場合、水ではなく、ぬるま湯に丸1日つけて少しでもオイルを逃がしましょう。
素材との会話が必要な料理は、実に面白いですね。