【スパイスとしての生姜】
生姜(ショウガ)は、最も古くから食用・薬用として、世界各地で使われてきたスパイスです。原産地は南アジア説や中国説などあって明らかになっていませんが、現在は中国、インド、東南アジア、アフリカ、日本など、比較的温暖で、適度な湿度のある地域で主に栽培されています。
栽培される国によって品種もさまざま、味や香りも違います。日本では生の生姜(ショウガ)を使うことが多いため、辛味がそれほど強くないものが主流です。
インドやアラブ諸国、欧米諸国では、色が濃く、香りや辛味の強いタイプの生姜(ショウガ)が多く栽培され、ジンジャーパウダーの原料になったり、ドライジンジャー(ショウガの根茎を乾燥させたもの)として多く使われています。
植物学上はショウガ科に属し、ミョウガやウコンも同じショウガ科の植物です。
【中国から日本へ】
中国では生姜がショウキョウと呼ばれ、古くから血行促進や発汗作用、解毒作用、吐き気止め・鎮咳効果のある生薬として用いられてきました。
現在も数多くの漢方薬に含まれ(たとえば「葛根湯」など)、漢方薬を構成する他の生薬を補佐する役目で利用されています。
日本には中国から3世紀頃伝来したと考えられており、最初は薬用として栽培され、江戸時代になって食用として広まったと言われています
【生姜の性質と効用】
近年、の薬用効果研究が進み、その辛味成分に、発汗促進・血行促進・消化促進作用、嘔吐抑制作用、抗菌・殺菌・消臭作用などがあることが実際にわかってきました。
体を温め、新陳代謝を活発にする食材としてショウガを愛用する人も増えていますが、ショウガは辛温の性質をもち、発汗作用がありますので使い方には少し注意が必要です。
生のまますりおろしたものを過剰摂取すると、体の津液(必要な水分)を消耗しすぎてしまったり、のどが少し赤く腫れている場合などは悪化させてしまうこともあるからです。中医学でいう熱証には生姜を用いない理由もここにあります。
生姜の持つ発汗作用を上手に活かしたいのは、ゾクっと寒気がして風邪をひきそうだな、というとき。
生姜を皮つきのまま薄切りしたものをほんの2、3枚、黒砂糖と一緒にカップに入れ、熱いお湯を注いで蓋をし、3分ほど置いてから飲む“生姜黒糖茶”がおすすめです。
寒さの邪気がまだ体の表面に留まっているうちに、生姜の発汗作用を利用して、汗とともに追い出すイメージで飲んでみてください。
- 生姜
- 生姜畑
- おろし生姜と薄切り生姜
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- 1.生姜のすりおろし
- 2.生姜の薄切り