【唐辛子の歴史】
唐辛子(チリペッパー)は、ナス科トウガラシ属の果実。中央アメリカや南アメリカ、西インド諸島で古くから栽培されていました。
15世紀、インド上陸を目指しながらアメリカ新大陸に到達してしまったコロンブスがヨーロッパへ持ち帰り、世界中に広まったと考えられています。
胡椒ではないのにペッパーと呼ばれる理由は、コロンブスが唐辛子を、インドで栽培されている胡椒と勘違いしたからだと言われています。
現在は、メキシコ、インド、中国、韓国、タイ、インドネシア、日本、アフリカなどの熱帯〜温帯地域で生産され、気候や風土に合わせ数多くの品種が生まれています。
【唐辛子の色々】
多種多様な唐辛子。色は赤、黄色、緑、オレンジ、紫、クリーム色、黒などがあり、味はホットなものからマイルドなものまでさまざまです。
辛い唐辛子の代表は、ハラペーニョ、タバスコ、カイエンヌペッパー、ハバネロなど。 辛みの少ない甘味種の代表は、パプリカ、ピーマン、ピメントなどで、スイートペッパーと呼ばれます。
パプリカは、ハンガリーで品種改良されたスイートぺッパーで、赤いスイートペッパーを乾燥させて挽いたものがパウダータイプのパプリカです。
チリパウダーは、唐辛子にオレガノ・クミン・ガーリックなどのスパイスを何種類かブレンドしたミックススパイスで、辛味はそれほど強くなく、メキシコ料理などに多く使われます。
赤唐辛子を挽いた辛いチリペッパーとは異なりますので、使うときには注意してくださいね。
【薬膳としての唐辛子】
中医薬膳では、唐辛子は体を温め、寒さを取り除き、消化を助け、胃腸を元気にする食材です。
唐辛子の辛味成分はカプサイシンといい、血行をよくして発汗を促したり、消化を促進したり、皮下脂肪を燃焼させたりする作用があるということがわかってきました。
唐辛子の辛い部分は、種とさやをつなぐわたのところです。刺激性が強いタイプの唐辛子は、多量に摂取すると汗が出過ぎて体を冷やしたり、胃腸を傷めてしまうこともあるので、ほどよく摂り入れるのがおすすめです。
あまり知られていませんが、唐辛子はビタミンA、ビタミンE、鉄、カリウムも豊富な食材です。
【日本の唐辛子と調味料】
唐辛子が日本に伝来したのは、450年くらい前と考えられています。 当初、食用としてはあまり普及せず、薬用や鑑賞用、しもやけ止めとして用いられていたようです。日本産の唐辛子には、本鷹、鷹の爪、八房(やつふさ)など細めで辛味の強いものから、獅子唐、伏見甘長など甘口タイプまで沢山ありますが、近年は中国からの輸入が増え、国内の栽培種は少なくなっています。
世界各地の気候風土に適応できた唐辛子は、調味料に多く使われ、各国の食文化の形成に大きな影響をもたらした点も大変興味深いところです。中国のラ-油や豆板醤、韓国のコチュジャン、インドネシアのサンバル、西インド諸島のペパーソースなどがその例です。
(文:吉開有紀)
- 唐辛子
- 唐辛子の種類は多い
- 赤唐辛子
- 緑色の唐辛子
- 紫色の唐辛子