【スパイスとしてのシナモンと日本人】
シナモンの神秘的な香りは人々を魅了し、はるか昔から貴重なスパイスとして珍重されてきました。古代エジプトでは、ミイラの防腐剤として使われたほか、儀礼などでも薫香として用いられていたそうです。
日本でも古くから香料や薬用として用いらてきた歴史があります。やさしくほのかな甘味と微かな辛味、木を感じさせるおだやかな香りは飴やお菓子などにも使われ、日本人にとっては、もっとも身近なスパイスのひとつと言えるでしょう。
スパイスは、芳香のある植物の根や茎、枝や樹皮、果実や花蕾、種子などを乾燥して作られますが、シナモンはクスノキ科の常緑樹の樹皮を剥ぎとって乾燥させたもの。
スリランカ、セイシェル諸島、インド、インドネシア、中国広西省・広東省などで主に生産されています。
厳密には、“シナモン”と呼べるのはスリランカでとれるセイロンニッケイのこと。
中国産のものはカシア、日本産のものをニッキと呼びます。カシア、ニッキは、シナモンとは近縁種にあたり、それぞれ形状や風味に違いがあります。
【薬膳としてのシナモン】
中国薬膳では、桂皮(ケイヒ)または肉桂(ニッケイ)とも呼ばれ、食薬の効能別分類では、“温裏類”に属します。“温裏類”というのは、臓腑を温め、冷えの症状を改善する働きをもつ食薬の総称です。
シナモンは、“大熱”の性質をもち、お腹や腎の冷えを取り除き、血行をよくして冷えからくる痛みを緩和する働きがあると考えられています。また、陽気(主に体を温めるエネルギー)を高めたいときに、補気・補血作用のある食物に少量加えてよく用いられます。ゾクッと寒気がしたときや軽い生理痛のときなどは、生姜のスライスと一緒に煮て黒砂糖を加えたお茶もおすすめです。
近年、シナモンに、血糖値・中性脂肪・コレステロール値を下げる作用や毛細血管の老化防止効果があるとして新たに注目を浴びていますが、スパイスは刺激性があるものですので、過剰に摂取することはおすすめできません。料理の素材を引き立たせ、より美味しくする範囲で使いましょう。
【シナモンの使い方】
シナモンはスティック状のものとパウダー状のものがありますが、どちらにもよさがあります。
スティックタイプは、ブラックティ、カプチーノなどに添え、かき混ぜるだけでも、ほんのり香りがうつります。
じっくりコトコト煮出す時間があるときは、生姜や他のスパイスも加えてチャイを作るのもよいですね。
パウダータイプはケーキやパイなどのお菓子にぴったり。
洋梨、りんご、さつま芋、かぼちゃとの相性も抜群です。
飲み物やお菓子だけでなく、モロッコやイランなどでは鶏肉や羊肉を使う料理によく使われています。
- シナモン

- シナモンの効用

- スティックシナモンとシナモンパウダー
