料理の本によく出てくる“ひと煮する”という表現は、料理の仕上げなどの段階でよく使われる言葉で、簡単にいえば「短い時間しか煮ない」「さっと煮る」という表現にも類似しています。
火を通すように煮るけれど、全体に火が通ったらおしまい。つまり、その食材を入れてフツフツしてきたら火を消しましょう(止める)。
火を通しすぎると、味を損ねるということへの配慮でもあり、味だけでなく、見ためも悪くなることが多いので、仕上げに重要な調理方法と時間の目安になる言葉です。
たとえば味噌汁で【大根とセリの味噌汁】を作ることにします。大根とセリに火が通る時間は、誰もが想像できるように明らかに違うのが分かります。この場合は大根を先に出汁で煮て、大根が柔らかくなったら味噌を溶かし入れ、ほぼ同時にセリを入れて“ひと煮”すること。
最初から一緒に煮てしまうと、香りのセリを入れる意味もないどころか、余分なアクが大根に移り味が悪くなってしまいます。こんなに簡単な料理ですら、仕上がりに格差がでてしまうので、この言葉に出会ったときは、忠実に守りましょう。
“まわりからフツッときたら、すぐに火を消す(止める)”そんなタイミングが、ひと煮するということ。